男声合唱の名曲、多田武彦の「梅雨の晴れ間(柳河風俗詩より)」、歌詞の意味を読み解いてみよう

合唱
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こんにちは!

西宮つーしんのライター「だぁ@にしつー」です。

私はずっと合唱をやっていますが、中心は男声合唱でした。

主な合唱歴はこちら↓

・ヤマハ音楽教室 幼稚園~小学校
・関西学院中学部グリークラブ
・関西学院高等部グリークラブ
・関西学院グリークラブ
・新月会
・その他一般合唱団

少し前にフェイスブックでこのような投稿をして、私としてはけっこう大きな反響を頂きました。

「梅雨の晴れ間」といえば、多田武彦作曲の男声合唱組曲「柳河風俗詩」の4曲目としておなじみの名曲で、男声合唱をやっていた方ならご存知の方が多いのではないでしょうか。

私も今まで何度も歌ったし、とても好きな曲の一つでもあります。

動画はこちら↓

「梅雨の晴れ間」だけの動画ではなくて申し訳ないのですが、一応自分が出ている動画を貼っておこうと思いまして……

この動画の8:50くらいから「梅雨の晴れ間」が演奏されています。

良かったら聴いてみて下さい。

しかし、とても有名でファンも多いこの曲ですが、意外と歌詞の意味が分からずに歌っている方も多いようです。

という事で、 今回は男声合唱組曲「柳河風俗詩」の「梅雨の晴れ間」の歌詞を読み解いてみようと思います。

作詞はあの有名な北原白秋ですよ。

「梅雨の晴れ間」歌詞

廻せ 廻せ 水ぐるま
けふの午(ひる)から忠信(ただのぶ)が
隈取(くまどり)紅い(あかい) しゃっ面(つら)に
足どりかろく 手もかろく
狐六法(きつねろっぽう)踏みゆかむ 花道の下
水ぐるま・・・・・・

廻せ 廻せ 水ぐるま
雨に濡れたる古むしろ
円(まる)天井のその屋根に
青い空透き 日光の
七宝(しっぽう)のごときらきらと
化粧部屋にも笑ふなり

廻せ 廻せ 水ぐるま
梅雨の晴れ間の一日を
せめて楽しく浮かれよと
廻り舞台も滑(す)べるなり
水を汲み出せ 平土間(ひらどま)の
田舎芝居の菲畑

廻せ 廻せ 水ぐるま
はやも昼から忠信が
紅隈とった しゃっ面に
足どりかろく 手もかろく
狐六法踏みゆかむ
花道の下 水ぐるま

「水ぐるま」って何?

この詩で最初に出てくるのが「水ぐるま」という単語です。

多くの方はいわゆる「水車(すいしゃ)」を思い浮かべるかもしれませんが、ここで言う「水ぐるま」は「すいしゃ」とは少し違います。

簡単に言うと農業に使われていた人力のポンプのような物で、水を低い所から高い所に移す為の道具です。

(出典:伊庭水車プロジェクト

こんな感じで、足で漕いで回します。

冒頭の「廻せ 廻せ 水ぐるま」という歌詞の意味が何となくお分かり頂けたでしょうか。

「忠信」って誰?

次に「忠信(ただのぶ)」という人物が出てきますが、この後に「隈取」「しゃっ面」「狐六法」「花道」などの単語が出てきますので、歌舞伎が好きな方ならピンとくるでしょう。

この「忠信」というのは有名な歌舞伎の演目「義経千本桜」に登場する「狐忠信」(狐が化けている佐藤忠信)の事です。

義経千本桜の概要やあらすじについてはこちらをご覧下さい→歌舞伎演目案内

その他の単語についても軽く説明しておきます。

「しゃっ面」「隈取」

「しゃっ面」は顔の事で、「隈取」は歌舞伎を演じる際のメイクの事です。

kabuki-kumadori

(出典:Goin’ Japanesque!

こういうやつです。

見た事ありますよね。

この隈取も色々と奥が深いので、興味のある方は上記の画像の出典元をご覧下さい。

「花道」「狐六法」

「花道」というのは舞台上から客席を横切るように設置されている道で、歌舞伎では役者さんはここを通って入退場します(単なる入退場の通路というだけでなくこの上でも演技が行われます)。

「狐六法」というのは「六法」(六方とも書きます)の一つで、「六法」とは歌舞伎役者が花道を通って退場する際の派手な演出です。

歌舞伎の見せ場の一つですね。

有名なのは弁慶の「飛び六法」でしょうか。

文章だけで説明するのも難しいので動画を貼っておきます。

この動画の最後の場面に「狐六法」がありますよ。

結局どういう意味なの?

ここまで説明したらよけいに意味不明になったでしょうか。

歌舞伎の登場人物である忠信が農業用の水ぐるまをせっせと廻している……

かなりシュールですよね……

これ、実は北原白秋が芝居小屋の風景を描いた詩なのです。

北原白秋の故郷である柳河では田舎芝居の公演が行われていたのですが、野外の芝居小屋ですから雨が降ると公演ができませんでした。

梅雨時期で雨が続いてなかなか公演ができず、久し振りの梅雨の晴れ間に何とか公演をやろう、という風景が描かれている訳です。

久し振りに晴れたものの、客席には水たまりができていて、このままでは公演ができない……

水たまりを何とかする為に水ぐるまを持ってきてせっせと漕いでいる……

お昼の早い時間から、主役の一人である忠信が衣装を着て隈取もして準備万端で、自分の見せ場である「狐六法」を行う花道の下で水ぐるまをガンガン廻している、という光景を想像してみて下さい。

梅雨で雨が続いて気持ちが沈みがちのところ、久し振りの晴れでテンション爆上がりな感じと、忠信の「早く芝居やりてぇ~~~!」という感じが伝わってきますよね。

そう思ってもう一度歌詞を読んでみると、実にコミカルで微笑ましい詩だという事が分かってもらえると思います。

今度からこの歌を歌ったり聴いたりする時にこの風景を思い浮かべてもらえると、今までの100倍楽しめると思いますよ!

動画も撮ってますのでこちらもご覧下さい。

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